包括的なプロジェクト管理には、プロジェクトの実行と並行して実行できるプロジェクト予算と予測バージョンを確立する必要があります。特定の時点におけるプロジェクトの静的なビューを提示し、その時点以降の動的な予測を可能にします。EAC ワークベンチなどのツールによって強化された予算編成および予測機能により、プロジェクトのライフサイクルを通して精度が向上し、意思決定が改善され、透明性が向上します。リアルタイム データに基づいて予測を継続的に更新することで、企業はより正確な財務計画を立て、より適切な意思決定を行い、透明性と説明責任を確保できます。
IFS プロジェクト予算作成と予測には、次の機能があります。
プロジェクト予算の作成は通常、プロジェクトの見積りを予算明細にまとめ、予想されるプロジェクト原価と売上の予測を作成することから始まります。初期のプロジェクト定義フェーズでは、範囲が十分に詳細化されていないことが多いため、暫定予算はプロジェクト レベルなどの高レベルで定義されます。詳細が明らかになれば、それに応じて予算を調整することができます。少なくとも、初期予算には原価/売上の要素とそれに関連する金額が含まれます。
予算/予測明細は、予想される原価/売上の金額を表しています。これらの金額の発生が予測される時期とは関係ありません。原価や売上がプロジェクトにいつ影響するかを特定するために、これらの金額を会計期間全体に配分することができます。推奨しているプロセスですが、オプションです。金額の配賦は手動で行うことも、ユーザー定義の分散プロファイルを使用して行うこともできます。
調整された ETC 金額とコミットされた金額は、予測明細の開始日と終了日の間の会計期間にわたって配分されます。プロファイルを使用して配分する場合、予算/予測明細で定義されたプロファイルを使用するか、別のプロファイルで上書きすることができます。ETC の配分は、資源予測または契約変更オーダーに関連付けられていない部分に対してのみ行うことができます。コミットされた原価は、関連する原価要素の分散が有効になっている場合にのみ分散できます。プロジェクト予算/予測バージョンの締切日は、プロジェクトの会社の既存の会計期間と一致する必要があります。
予算/予測明細に必要な情報を入力したら、担当者はそれを確認して、ステータスを確認に設定します。すべての明細を確認したら、財務責任者による予算全体の検討が行われます。
次に、予測はオプションの承認プロセスを経ることになります。プロセスの期間を短縮するには、予測の所有者による直接承認を許可するか、個人や役割が予測を並行して、または順番に承認できる承認手順を事前定義しておきます。承認手順のすべてのステップが完了すると、予測が承認済に設定されます。
承認された予測を予算として設定する場合は、予測の担当者によって予測を有効予算として設定することができます。有効予算は一度に 1 つしか存在できないため、現在、有効予算として設定されている予算は新しい有効予算に置き換えられます。
予算が有効予算として設定されると、オプションでその予算を使用して、プロジェクト予算に対するプロジェクト調達トランザクションを制御することができます。すべての調達トランザクションは、予算管理ルールに基づいて残りの予算額と照合されます。これらのルールにより、原価が予算額としきい値を超えない用にします。資金が不足しているときに支出を防止するルールが設定されている場合は、支払いを行うことはできません。この予防的対策により、予測外の原価がプロジェクトに計上され、予算を超えるようなプロセスがユーザーによって実行されるのを防ぎます。
プロジェクトの実行全体を通じて、定期的な予算の見直しと予測シミュレーションが必要です。見直しは、事前に定義された時期にスケジュールするか、プロジェクトの変更に応じて柔軟に実施しても構いません。新しい予測の作成は、以前の予測を利用するか一から作成します。特定の時点に関連する既存プロジェクトの原価と売上の情報を取り込むためスナップショットを作成して接続することができます。
予測のプロセスは予算と同様のプロセスになります。予測明細のレビュー、確認そして予測の承認になります。
ETC (残作業コスト予測) と EAC (完了時見積) を評価するには、新しい予測を作成し、プロジェクトの進捗状況に関するリアルタイムのデータを活用する必要があります。これには、発生した原価、完了した作業、残りのアクティビティとタスクが含まれます。
ETC の更新は、作業範囲に変更があったとき、プロジェクトの進捗状況や効率性に関して新しい情報が発生した場合、またはプロジェクトの見直しサイクルやマイルストーンに基いて定期的に行うことができます。同様に、新しい総見積原価を反映させるため ETC を更新した後に実際の原価が予測から大幅に逸脱した場合や、想定に変更が生じた、原価に影響を与える予定外の状況により変更が発生したなどの場合にも、ETC の更新が必要なことがあります。
スナップショットは、締切日と呼ばれる特定の時点を基準としたプロジェクト ステータスの静的ビューを提供します。すべてのプロジェクト アクティビティと接続されているオブジェクトを、報告された原価/売上と進捗とともにキャプチャします。予測または EAC ワークベンチに接続すると、スナップショット マッチング プロセスによって設定に応じて ETC または EAC 値が自動的に更新され、最新のプロジェクト データが予測に反映されるようになります。
ETC割当機能を使用すると、予算/予測 ETC 値をあるレベルから別のレベルへ、または構成の別ブランチに割り当てることができます。これにより、正しいレベルでの制御と比較が行われ、すべての動きにメモを追加できるようになります。複数通貨の予算編成と予測、および/またはプロジェクト通貨が使用されている場合は、ベース B&F 通貨またはプロジェクト通貨のいずれかに対して検証された、ソース明細と割当先明細間の通貨コードを変更することができます。
EAC ワークベンチはこのプロセスで利用でき、原価と売上の両方の EAC 値を予測および構築するための構造化された効率的な方法を提供します。システム生成データとユーザー入力データを統合し、プロジェクトの有効予算に基づいて計算を処理し、スナップショットを通じて原価と売上を取得して、正確で信頼性の高いデータを保証します。
資源予測を予算/予測バージョンに接続することができます。資源予測を接続すると、 ETC接続列がプロジェクト予測明細のリストに追加されます。資源予測をプロジェクト予算または予測に接続した後、その資源予測に変更が加えられた場合は、更新コマンドを使用して、新しく変更された金額でプロジェクト予算または予測を更新できます。これにより、プロジェクト予測明細のETC 接続列が資源予測に対して再計算されるようになります。
契約変更オーダー予測を予算/予測バージョンに接続すると変更を管理できます。契約変更オーダー予測を接続すると、ETC 契約変更オーダー列がプロジェクト予測明細のリストに追加されます。契約変更オーダー予測をプロジェクト予算/予測または EAC ワークベンチに接続した後、その契約変更オーダーに変更が加えられた場合は、更新コマンドを使用して、新しく変更された金額でプロジェクト予算/予測または EAC ワークベンチを更新できます。これにより、プロジェクト予測明細の ETC 契約変更オーダー列が契約変更オーダー予測に対して再計算されるようになります。
効果的な予算管理には、定期的な監視と差異分析が不可欠です。定期的な見直しには、定期的なチェックインを実施して予算に対するプロジェクトのパフォーマンスを評価する、予算と実際の原価の差異を分析する、根本原因を特定して必要に応じて是正措置を講じるなどが含まれます。プロジェクトの現在の財務状態、計画から逸脱している点がないか、計画どおりに進めるための調整案などに焦点を当てた詳細なレポートを関係者に提示します。